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【これであなたもテニスのライジングが打てる】ライジングの練習方法や習得のコツ、試合での使い方を伝授。

 2016/12/01 ライジング レベルアップ
この記事は約 9 分で読めます。 31,203 Views

今回は、「ライジング」をテーマにお伝えしたいと思います。

「ライジング」という言葉が主流になったのは、伊達公子選手のプレーがきっかけだと思います。筆者は、伊達選手が現役を一度引退し、復活した一年目に、有明国際という大会で、対戦した経験があります。

当然、ストレートで、惨敗を喫するのですが、その試合中、負けていることよりも、伊達選手のライジングの凄さに驚愕しました。いまでも鮮明な記憶として残っています。

そんな、「ライジング」は上級者になると、次のステップとして、興味が沸くキーワードではないでしょうか?

しかし、実際にやってみようとすると、なんだか上手くいかない。ライジングを習得するためには、素振りをすれば良いのか?フットワークを変えれば良いのか? 正直「ライジング」がわからないという声をたくさんの生徒さんから聞きました。

そこで、今回はライジングショットを身につけて頂くために、大きく分けて3つのポイントをお伝えしたいと思います。

漠然と「ライジング」という言葉にとらわれるのではなく、具体的なチェックポイントを理解し、攻略していきましょう。

【ライジングを習得するための3つのポイント】

・1つ目、いかにして、ベースラインの内側にポジションを取れるか?
・2つ目、今のスウィングをどのようにして「時短」出来るか?
・3つ目、予測をたてて、先手を取ること。

この3つのポイントをおさえれば、必ずライジングが打てるようになり、今まで勝てなかった相手に勝つことが出来るようになるでしょう。

「ライジング」とはどんなショット?ライジングの先駆者、伊達公子選手から学ぶ

はじめにライジングの意味を知る

まずは、「ライジング」の意味って何でしょうか?

その言葉の意味のとおり、

Rising=昇る、上がる、日や月が出る、高くなった・・・
※出展 Weblio

などがあげられます。

それを、テニスではボールに置き換えて、ボールが上がる、高くなる位置で、打撃することを指します。

テニスボールは、弧を描いて飛んできますが、コートにバウンドした後も同じように山なりに上がって、再び地面に落ちていきます。

その際のボールの最高到達点、もしくは、最高到達点に達する前に打撃できれば、ライジングショットとなります。

わかりにくいので、図解してみましょう。

図で解説するテニス ライジングショット

図1は最高到達点より、ボールが低い場所にあります。
普段私達は、この辺りでボールを捉えていると思います。

しっかりと力をためて打つ、ボールを引き付けて打つと、図のようにボールを落下の途中で捉えることになります。

%e3%83%9b%e3%82%99%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%81%8b%e3%82%99%e8%90%bd%e3%81%a1%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b%e5%9b%b3次に図2は、ボールが最も高い位置にあります。この位置で捉えるか、更にそれ以前でボールを打てればライジングショットとなります。

%e6%9c%80%e9%ab%98%e5%88%b0%e9%81%94%e7%82%b9そして、次の動画はライジングで有名な、伊達選手がストロークしている動画です。ボールの到達点がどの位置にあるか注目してみましょう。

伊達選手のライジング動画①

横から伊達選手のスウィングを見みると、打点がよくわかりますね。

だいたい、3球に1回は、最高到達点付近で打っています。そして、3球に2球は、最高到達点より、やや低いところ。

センター同士のストレートラリーなので、ライジングが打ちにくく数回に一度になっています。(伊達選手をもってしても、相手との距離が短いセンターラリーでは、ライジングショットは難しいということです。)

そして、時折、ジャンプしながら打つような場面が見られます。それは、後ろにさがって、ボールの打点を落とさないために自分がジャンプして高い打点で捉えているということです。(男子選手などに、よくみられる打ち方です。)

つまり言い換えると、ライジングとは少しでも高い位置で、少しでも早い段階で(バウンドしてから)打つことが重要なのです。

次は、試合場面でのライジングショットを見てみましょう。

伊達選手のライジング動画②

動画が始まって、30秒の間、ウォズニアッキ選手を左右に振り回し、段々コートの中に入ってプレーしていくのがわかります。

そして、ウォズニアッキ選手に比べ、ボールが落ちてから打つまでの時間が短いため、返球が早く、ウォズニアッキ選手が戻る時間や、準備する時間がなくなって、伊達選手が優位にたっているのがわかります。

テニス ライジング習得ポイント① ベースラインより内側にポジションをとる

動画①と、動画②の解説でもお伝えしたように、ライジングを打てるポジションは限られており、ベースラインより後方に追いやられてしまうと、難しくなります。

そこで、いかにコート内にポジションを取れるかが重要になってきます。

(ボールは最高到達点に達する前と達した後では、達する前が威力があります。そのため、ライジングで捉える際は、地面の反発力の強いボールを処理しなければならないので、打点も前であることが理想です。

打点が後ろや、高すぎる打点では、急速の早いボールを押さえ込むことが出来ないのです。それもあって、ポジションも打点も前で捉えることが、ライジングの基本となります。)

それでは、下記画像を見比べてください。

■伊達選手
dateariake

■ベンチッチ選手
ben

こちらは、動画1の練習風景ですが、同じコートで、同じアングルで撮影した別の選手の練習風景です。

伊達選手より身体一つ分、ポジションが後ろなのがお分かりでしょうか?(※スプリットステップした瞬間及びその直後のポジションを切り抜いています。)

前述したように、センターでのストレートラリーですが、それでも他の選手に比べると、ポジションが前だということです。少しの差に感じるかもしれませんが、その少しの差がライジングショットの決め手です。

そこで、まずは普段から自分がどのぐらいの位置でプレーしているかを把握しましょう。打つ前や打った後、どこに立っているか確認してみましょう。

確認したら、普段の位置より一歩前でボールを捉えられるか試してみましょう。

ライジング習得ポイント② 時短プレーを心がける

ポイント1では、コートの中にポジションをとる、重要性をお伝えしました。

それでは、どうやったらコートの中でプレーしやすくなるのでしょうか?

その一つが、コートの中でプレーするために、普段であれば、下がって打っていたショットを下がらないようにすることです。

ライジングを打つこと、ライジングを使って試合展開を有利に持ち込むために重要なのは、ボールが弾んでから打つまでの時間を短縮することです。

それによって、相手の戻る時間、かまえる時間、考える時間を奪うのです。

その時間を縮める方法の一つとして、「ひざを曲げる」ことの有効性を理解して頂きたいと思います。

こちらは、セレーナ・ウィリアムスのショットです。注目して欲しいのは、ベースライン付近での膝の曲げ方です。

セレナはベースラインから、なるべく下がらないようにして、そのかわりに膝をまげて対応しています。

筆者がテニスを始めた、20数年前は、深いボールがきたら、しっかりと「下がる」ことが基本でしたが、近年では、動画のように下がる代わりに膝を曲げて下がらないで打つ。」がトップ選手の主流となっています。

「過去の主流は、足を踏み込んで打つ」でしたが、足を踏み込むためには、ボールとの、距離を保たないといけません。必然的に、後ろに下がることになります。

そうして、下がってしまうと、打点も最高到達点では打てなくなるので、ライジングが打てなくなります。

更に、一度コートの外にポジションを移してしまうと、再び前に戻りにくく、次のボール、その次のボールと悪影響が出てくるのです。

言い換えると、相手選手にライジングを打たれないように工夫するのは、自分のボールを深くコントロールすればいいのです。

逆に浅くなれば、相手がコート内に入ってきて、主導権をどんどん握られてしまうのです。そして、普段、ボールポジションに入って、直前に膝を曲げますが、時短出来るとすれば、この部分直前に膝を曲げるのではなく、前もって曲げていればいいのです

まわりくどい言い方ですが、つまり常に腰を下ろして、膝を曲げた状態でいれば、いつでも打てるので、「時短になる」ということです。

ライジング習得ポイント③ 予測をたてる。

最後の重要なポイントは、予測をたてるということです。

スポーツは、予測(読み)が重要ですが、テニスも同様に相手のショットに予測をたてることが大切です。

予測のたて方としてあげられるのは、まず相手の

・打点を見る
・ラケットの面を見る
・体の向きや角度を見る
・癖を見抜く

こういったところに注意をはらって。おおよそ次のショットがくるコースに予測をたてましょう。

予測のたて方は、下記の動画で伊達選手が詳しく紹介していますが、実は筆者の場合、予測をたてるのが大変苦手でした。それでも、訓練をすれば、いくらか上達するものですので、めげずに意識をしてみて下さい。

筆者のように、一瞬の見極めが苦手な方は、練習中や(対戦相手の前の試合なども参考に)3セット通しての長い目で予測を強化してもいいと思います。というのは、予測を瞬間的な判断ではなく、統計的にみていくのです。

例えば、相手選手は、さっきからストレートのショットが多いな。フォアーハンドのアングルが得意だな。後ろに下がるとロブがくるな・・・など。傾向を探っていきましょう。意外と、得意なコースは限られているものですし、人の癖はすぐには直りません。そこを読んでいきましょう。

逆に、全く予測をたてないで、相手が打った後にボールを見て動いていると、ボールに追いつくのがやっとになってしまいます。ライジングを実現させるには、ボールの弾む位置を予測して、最高到達点より落ちる前にそのポジションに入らなければいけないのです。すなわち、素早いフットワークと、鋭い予測でコートの中に入ってプレーをする必要があるのです。

下記動画は、伊達選手復帰後に、その強さを検証したVTRです。予測をたてる方法が大変わかりやすく、解説されていますので、ご覧下さい。

ライジングを身につけ方のまとめ 結論

今回は、上級者向けに、今よりステップアップを目指して、ライジングをテーマにしました。

テニスの技術も日々進化していて、技術や戦略も変化しています。「昔は○○と」教えられたことや常識がだんだんと、変わっていくものです。ライジングは特に最新のテニスで、新しい考え方が必要です。

今後は、少しでもタイミングを早く、ボールを捉えられるように、相手より一歩前でプレー出来ることが、勝利への鍵となります。

ライジングを打ちたい、と考えている方は、今回の4つのポイントをしっかり抑えて自分のプレーを見直してみてください。慣れてくると今より、少ないパワーでプレー出来るので、体力の温存にもつながります。

大切なのは、チェックポイントをしっかり理解し、最初は出来なくても、めげずに続けることです。

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ライター紹介 ライター一覧

AIKO KASUMI愛甲霞

AIKO KASUMI愛甲霞

元プロテニスプレーヤー
横浜国立大学 教育学研究科 教育学修士 スポーツキャリアカウンセラー

東京都出身、6歳からテニスを始め、青山学院大学卒業後プロに転向、国内及び海外ツアーを転戦、自己最高国内ランキング30位、世界ランキング600位。
引退後、大学院にて健康スポーツ学を学ぶ。現在は指導の傍ら、選手マネージメントに携わり、スポーツ選手のキャリア支援を行っている。
その他、テニス雑誌での連載や、メディア出演など活動中。

ホームページアドレス
https://aiko-kasumi.net/
オフィシャルブログ
https://labola.jp/aikokasumi

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